
~菜の花がつないだご縁から、
『ひーな農園』そして未来を育む庭へ~
とある春の日。
糸島の山あいを散歩していた私たちは、道ばたに置かれた金属製の罠を見つけました。どこか年季の入った、少しサビついたその罠に、思わず足を止めたのを覚えています。
「これって…イノシシを捕まえる罠かな?」
そんな風に話していると、ちょうど近くにいた男性がこちらに気づいて、声をかけてくれました。

その方が、地域で様々な活動をされている矢野さんでした。
「それ、実際にイノシシを捕まえるための罠ですよ」と教えてくれた矢野さんに、私たちは思わず
「えっ、こんな罠で本当に捕まるんですか?」と尋ねてしまいました。
「けっこう捕まるんですよ。」と、笑いながら話してくれた矢野さん。
トラックの荷台には菜の花がたくさん積まれていました。
「ちょうど採ったばかりなんですよ。よかったら、どうぞ。」
そう言って手渡された菜の花は、ほのかに甘く土の香りが混じり合い、春の息吹そのものでした。
この小さな出会いこそが、『ひーな農園』のはじまりだったのです。
矢野さんとのご縁から、自然への思いがふくらみ、「自分たちでも菜の花を育ててみたい」との想いが芽生え、『ひーな農園』の畑の一角に種をまきました。
やがて迎えた春、黄色い菜の花が一面に広がり、その風景は言葉では言い尽くせないほど温かなものでした。
その景色を楽しみにしてくださる地域の方が増え、やがて「菜の花の収穫祭」も開催されるように。子どもたちの笑い声、写真を撮るご家族、ベンチでゆったりと過ごすご年配の方々。
この畑は、地域の人と人とがつながる「庭」へと育っていきました。
『ひーな農園』MAP
番号をクリックすると説明が表示されます。

この「庭」は、さらに変化と成長を続けています。
菜の花だけでなく、季節ごとの花々、野菜、果樹が植えられ、自然とともに歩む新たなプロジェクト。
それが『とわガーデン』です。

「とわ(十和)」という名前には、数字の「十」が象徴する完全性や完成という意味が込められています。そして「和」は平和や調和。つまり、「十和」とは完全な平和、調和のとれた世界を願う想いを表しています。
自然のやさしさと人のつながりが巡り合い、この庭が、世代や立場を越えて、心が和む場所として永く続いていくように。
そんな願いを込めて名づけられました。

この『とわガーデン』は、やがて、アプライドグループの人材育成にも活用されつつあります。
社名「APPLIED=応用された」の通り、私たちは“働く”ということを、机上だけでなく「土の上」にも広げて捉えたのです。
採用時の内定者向け研修、新入社員向けの研修から、リーダー育成に至るまで。
自然の中で汗を流し、五感を使い、命と向き合うこの農作業の体験は、「人の本質的な成長」に欠かせない場として、多くの気づきを与えてくれます。

・新人研修
・フォローアップ研修
・選抜中堅層研修
・リーダー育成
・新任副店長研修
・店舗外営業研修
・おもてなし研修 など
どの研修でも、「汗と涙と一生懸命」の教育理念のもと、人を思いやる心や、他者と向き合うぬくもりのある感性が育まれていきます。

さらに、女性社員の視点や感性も大切に考え、力仕事だけでなく「花を育てる」作業を研修に取り入れました。
「花を育て、感じる」ことは、美しさへの感性や、創造性、そして感情の豊かさを育む時間となります。
感性が研ぎ澄まされることで、仕事への向き合い方も変わっていきます。

そして今、『ひーな農園』と『とわガーデン』は憩いの場所としてだけでなく、「世界初の農業体験型・成長フィールド」として、一般の方々にも開かれようとしています。
《ちょっとFARM》を通じて、
「働くことの意味」「自然と共にある生き方」を体験し、誰もが自分の中の“芽”を育てられる場所に。

はじまりは、たった一束の菜の花。
そこから生まれたご縁が『ひーな農園』となり、やがて『とわガーデン』へ。
この庭で咲くのは、花だけではありません。人と自然、心と学び、働くことの意味。
そのすべてが、静かに、力強く、咲き続けているのです。